兵庫県商工連会報3月号(第746号) 
      令和2年3月20日発行

『唯一無二の味とサービスをお客様に提供』
 淡路どり上原(かんばら)(五色町)

≪志を共にできる仲間と、丹波焼の発展につながる活動を≫
 淡路どり上原は、昭和24年寿美氏の祖母が鶏肉販売店として開業したのがはじまり。その後寿美氏の父、そして夫へと事業を承継し、14年前には現在の寿美氏が代表となった。
 その寿美氏の後継者である彩氏は、寿美氏の長男の妻であり、結婚当初は写真店に勤務する傍らで休日に店を手伝うぐらいで、当初は事業を引き継ぐ予定はなかった。
 しかし寿美氏が「どこよりも新鮮で良質のあわじ鶏を最高の状態で提供する」という経営方針のもと、真摯に家業に向き合う姿や、お客様からの店の評判を肌で感じるにつれ、彩氏は「この唯一無二の味をなくしてはならない」という気持ちが強くなり、家業に専念することを決意した。

≪共に協力して得た 新たなビジネスチャンス≫
 寿美氏は長年積み上げてきた経営方針を大事にしながらも、新たな事業にも積極的に取り組んでいる。
 五色町商工会経営指導員の長井栄子氏の支援のもと、販路開拓のため、小規模事業者持続化補助金の平成26年度補正予算より4回採択を受けている。
 そのうちの2回の採択で、ホームページの開設、パッケージのラベルデザインの開発、店の看板やリーフレット等を駆使し、新規顧客へのアプローチに成功し、売上高を伸ばすことができた。
 その後、「何か私も貢献できることはないか」と模索していた彩氏に、経営指導員長井氏は「事業承継者が事業を実施する場合の加点がある」と助言をしたことをきっかけに、彩氏が申請者となり以後2回の採択を受けることにも成功。商品一覧表、新商品PRのためのリーフレット、立て看板やタペストリー等の作成に活用し、島外への販路拡大にもつなげた。
 なかでも、既存商品へ名前をつけ、商品一覧表を作成したことで、電話で注文を受けた際、幅広い商品を持つことから生じる、注文の行き違いをなくすことにも成功した。
 その結果、彩氏も以前より自信をもって接客ができるようになり、お客様との会話もより弾むようになった。その他にも、彩氏ならではの新たな目線で業務改善のための取組みを行うことで、自身の役割を見出すことができ、後継者になることをより強く決意するようになったのである。

≪お互いを尊重しあいながら共に経営に向き合う≫
 以前は店舗販売が主であった販売が、彩氏の協力により、ふるさと納税の返礼品や県外のアンテナショップ、展示会等への出店、そして百貨店での委託販売を可能にした。
 独自の強みを聞くと、「商品には絶対の自信があります」とふたり口をそろえた。仕入先との独自契約で仕入れる朝引きのあわじ鶏は、大型店舗や一般的な飲食店等の市場に出回っているものとは食感がまるで違い、一度食べたらやみつきになる味である。
 今後の目標・課題として、寿美氏は「これからも色んなことを覚えていってもらいたいけど、彩ちゃんはお客様に対して、私より丁寧な対応をしているところは、そのまま続けてもらえればいいと思う」と語っていた。それに続き、「お義母さんのお客様から愛される接客姿勢や、知識の面ではまだまだ見習うことがたくさんあります。さらに私なりにできることは、これからも積極的に挑戦していきたい」と彩氏は話していた。
 2人の会話から、お互いのいいところを見習いつつ、一番の根底にある経営方針を共有した上で承継を進めているのが分かった。