兵庫県商工連会報11月号(第756号) 
      令和3年10月20日発行

事業も地域も積極的に関わり目が届く経営を実践
西山牧場(吉川町)

 西山牧場は昭和45年に創業し、現在は2代目の西山 農氏が代表を務め、約60頭の乳牛を飼育している。
生乳の乳業メーカーへの販売のほかに、自社の工房でアイスクリームやチーズなどの加工品を生産、それらの販売はもちろん、ピザレストランも経営する6次産業化を実践する事業所である。
酪農の6次産業化は、平成10年頃、収益性が低下している酪農業の今後を心配し、母きよみさんが、農業改良普及センターに相談し、その打開策としてアイスクリームの製造販売を提案されたことがきっかけとなった。責任者には、当時北海道の大学で酪農を学んでいた農氏に白羽の矢が立った。
母から「アイスクリームの製造販売を始めるので、その勉強して欲しい」という連絡を受け、3年生からは研究室を変更し、2年間アイスクリームの製造技術を学ぶとともに、各地の人気アイスクリームを食べ歩き、独自商品の研究開発も行った。
平成13年に吉川町に戻り、姉のあかね氏の協力も得て、アイスクリーム工房BOSS&MOMのオープンにこぎつけた。
「搾りたての生乳をたっぷり使ったアイスクリームを丘陵地の牧場で食べられる」と口コミで広がり、売上は順調に増加した。
また、酪農やアイスクリーム作りの体験も開始し、更に集客にもつながった。
その後、新たな加工品として、チーズの生産に乗り出し、自社商品を使った食事メニューを提供するため、平成28年にチーズ工房&ピザレストランをオープンした。
平成30年には、システムエンジニアをしていた兄の幸成氏も家業に従事し、現在の経営体制となった。
アイスクリーム工房やレストランの運営を通じて、「お客様の口に入る商品であるからこそ、安心で安全な商品づくりをしたい」という思いがより強まった。そのことが、牛の飼育から加工品の製造、調理にいたるまですべてに自ら関わり、何を聞かれてもなんでも答えられる「目が行き届く経営」に繋がり、無理な事業拡大をせずに、家族一丸となり事業に携わっている。

≪商工会や地域との関わり≫
 商工会との関わりは深く、長年におよび記帳指導や所得税確定申告はもちろん、経営に関わることも随時相談している。事業計画の策定から実行までの支援なども受け、平成28年に、ものづくり補助金で自動給餌機導入による先進的酪農経営に取り組み、平成29年には、小規模事業者持続化補助金で集客のための販売促進事業を実施している。
また、地域振興についても青年部活動への積極的な参加はもちろん、期間限定で地元食材を使った特別メニューを観光客に提供する「デリシャスよかわ」の実行委員長を務め、地域飲食店と特産品の振興に大きく貢献している。
異業種交流活性化支援事業にも参画し、地元農場で採れる苺とコラボした「いちごミルク練乳」を開発し、現在商品化に向けてさらに取り組みを進めている。地域にも経営と同じ思いを寄せ、地域の事を聞かれても答えられる状況でありたいと考え、様々な地域振興事業に関わりを持っている

≪コロナによる経営環境の変化≫
 新型コロナウイルス感染症の拡大により経営状況は一変、外出自粛などの行動規制から、昨年は一日の売上が数千円という日もあり、大打撃を受けた。現在は、「密集」を避ける傾向から、徐々に集客・売上ともに回復に向かっている。
しかし、新たな生活様式の変化に対応した事業の見直しは不可欠であり、商工会に相談した結果、移動販売による売上増を計画。兵庫県中小企業新事業展開応援事業の採択を受けて、移動販売車による経営力の強化に取り組んでおり、成果が期待される。
今後の事業展開としては、経営理念を念頭に置き、酪農家単体では投資費用面から難しいとされている「牛乳製造設備」を導入したいと考えている。
安心・安全でおいしい西山牧場オリジナルの牛乳をお客様に直接提供したいと笑顔で夢を語った。

【取材先概要】
事業所名/西山牧場
代 表 者/西山 農(にしやま みのり)
住  所/三木市吉川町豊岡427
TEL/0794-72-1026
URL/http://www.bossandmom.com/