兵庫県商工連会報7月号(第754号) 
      令和3年6月20日発行

地域を愛し、地域からも愛される店
割烹 三佳(芦屋市)

≪地域自慢のお店≫
 割烹 三佳は、昭和2年に仕出しもする鮮魚店として創業。慶事・法事の食事や松花堂弁当などの仕出しが中心であったが、地域のお客様のニーズに応え、店舗でも握り寿司や会席を楽しめる割烹料理店をはじめて以来、地域住民に親しまれている。現在は、3代目である島谷充彦氏が店主を務め、90年を超える老舗の味を守り続けている。
 人気のメニューは「うなぎ丼」。令和元年度「ひょうごまちおこし」支援事業のアンケートでは、「みんなのおすすめしたいお店の商品は?」で、“三佳 うなぎ丼”が選出され、「あなたのお気に入りのお店の1品」では、うなぎ弁当が1位を獲得した。
 鮮魚店として創業した当時は、お客様へのサービスとして販売していたうなぎのかば焼きは、いつの間にかお客様の支持を得て、地域を代表する逸品にまで成長していた。

≪長年守り続けた自慢の逸品≫
 平成7年の阪神・淡路大震災でも被害を免れた秘伝のたれは、創業時から注ぎ足して受け継いで使用している。
 うなぎは、国産にこだわり、焼き方は関西では珍しい関東風。白焼きしたうなぎを一度蒸してからたれにつけて焼き上げる。蒸すことで余分な脂が落ち、ふわっとした仕上がりになる。「サイズの大きいうなぎを丸ごと一匹使っており、お客様が蓋を開けた時の歓声が何よりうれしい」と、島谷氏は話す。テレビ・雑誌にも取り上げられ、口コミはもちろんSNSによる情報の拡散もあり、遠方からもうなぎを求めて来店するお客様が増加してきていた。

 

≪苦難からポストコロナ社会に向けた事業展開≫
 しかし、令和2年4月に状況が一変。新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言により飲食店の経営が非常に難しい状況となった。悩んだ末、長年店を支えてくれた家族従業員を含め4名の人員を削減。また、一番の人気メニューであったうなぎを主軸にメニュー数を絞り、仕入ロスを削減し事業の継続を最優先に取り組んだ。
 一方で、生活様式も大きく変わり、出前やテイクアウトの需要が高まり、同店も問い合わせが増加していたため、島谷氏は、テイクアウトでも美味しく食べていただくため、紐を引くだけで温まる容器を弁当用に導入した。電子レンジでうなぎを温めると水分が失われ歯応えが悪くなるが、導入した容器は蒸気でふっくら仕上がるため、この容器を利用するお客様が多い。
 その他にも、SNSやインターネットによる販路拡大が必要だと考え、商工会の支援を受けて、小規模事業者持続化補助金を申請し、先日採択を受けた。
 取り組む事業は、うなぎ弁当のネット予約によるテイクアウト体制の強化。更に、うなぎのかば焼きをネット販売するために、真空パック装置などを導入し、受注からクール便発送までのシステム構築を進めている。
 加えて、学生時代の友人との繋がりで、滋賀県のたまり醤油をうなぎのたれに加え、コクを追加し味を改良した。「う巻き」には姫路市の新鮮な鶏卵を使用し、卵本来の濃厚な味を追求するなど工夫を重ねている。

 

≪人とのつながりで芦屋を元気に≫
 島谷氏は、「コロナ禍を経験し、改めて商工会をはじめ、地域や顧客、友人とのつながりがあって、事業を継続できていると実感した。今後も長年商売をさせてもらっている地域への恩返しをしたい」と話す。コロナ禍で商売に制限がかかり、共に苦慮している商店会の会員に対して、商工会の取り組みを紹介し、商工会の活用や事業への参加を促すなど、地域の経済発展のためにと尽力している。
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【取材先概要】
代 表 者/島谷 充彦
住  所/芦屋市大桝町5-18
TEL/0797-22-3363
URL/https://www.kappo-miyoshi.com/