兵庫県商工連会報9月号(第755号) 
      令和3年8月20日発行

ウィズコロナの新たな観光振興策
有限会社ハル(豊岡市)

 (有)ハル代表の橋本尚子氏は、幼い頃から絵を描く事が大好きで、デザインにも興味があったことからデザイナーを目指して進学を考えていたが、将来の事を考え悩んだ末、幼児教育の学校に進学し、幼稚園教諭となった。しかし、夢が諦めきれず、結婚を機に憧れのデザイン業に転職、地元のデザイン事務所に就職、グラフィックデザインや店舗のデザインを中心に従事し、多くの仕事を任されるまでになった。
 勤務して3年が経った頃、出産に伴い育児のため退職。しかし、勤務していた頃の顧客から橋本氏へデザイン依頼の強い要望があり、家事と仕事が両立できるよう開業を決意。平成10年にデザインハルを開業した。開業後は、開業のきっかけとなった京阪神の取引先を中心に仕事をしていくうちに、口コミで評判が広がり、地元の但馬地域でも多くの仕事を受注し取引先の顧客が増加した。
 毎日、育児と仕事を両立させながら事業を切り盛りする中、平成14年には従業員の雇用を機に実家がある豊岡市に事業所を移し法人化した。企業イメージやコンセプトを詳しくヒアリングし、ショップデザインからメニュー構成やブランディングまでトータルでコーディネートを行っている。また、季節の新メニュー開発なども定期的に支援し、POPなどで効果的にPRするなどの丁寧な仕事に心掛けている。それにより、多くの取引先が業績を伸ばし、更に口コミで飲食店や宿泊業などの観光関連産業の取引先を増やすことができた。

≪コロナによる経営環境の変化≫
 しかし、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発令で状況が一変した。外出自粛で取引先である飲食店・宿泊業をはじめ、観光関連産業が大きな影響を受け、自社も仕事のキャンセルが相次ぎ売上が大幅に減少した。
 そこで、コロナ禍で苦しんでいる取引先の飲食店のために何かできないかと考え、テイクアウトメニューの販売を提案、無料で簡単なテイクアウトチラシの作成支援を開始した。なお、この支援により、取引先から改めてテイクアウトチラシを受注することとなり、自社の売上回復にも貢献した。

 

≪商工会との関わり方の変化≫
 取引先への支援と並行して、自社の経営についても見直しが必要と考え、商工会に相談してみることにした。
 開業後、商工会には加入していたが、経営相談は初めてであった。事業の見直しに向けた経営分析を受けた結果、営業面の弱さを指摘され、営業ツールの見直しに取り組むこととなった。
 開業以来口コミ等で顧客を獲得できていたため、積極的に営業活動をしておらず、ホームページも形式だけの内容となっていた。
 そのため、小規模事業者持続化補助金を活用して、ホームページを自社の強みである『事業者の経営をデザインする「ブランディングデザイン」』の高さをPRする実績集をふんだんに掲載した内容にリニューアルした。
 ホームページはスマートフォンやタブレットにも対応しており、営業・商談の際にパンフレットの様に提示でき、新規顧客の獲得につながっている。
 困った時に相談できる商工会の存在と、職員の親身な対応に感謝している。何より商工会が近い存在となったことが自分の中の大きな変化であったと橋本氏は語る。
 今年度は、商工会の支援を受け事業再構築補助金を活用して、自ら但馬地域の観光振興に貢献できる事業にチャレンジする。
 長年趣味で習い続けている陶芸のスキルと企業ブランディングで培ったコーディネート力を活かして、顧客の希望に沿った作品が作れる「デザイン提案型陶芸教室」を開講し、新たな観光資源を創出したいと意気込んでいる。

 

【取材先概要】
事業所名/有限会社ハル
代 表 者/橋本 尚子(はしもと ひさこ)
住  所/豊岡市日高町奈佐路734
TEL/0796-42-4618
URL/https://design-hal.com/